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本気 [詩]


 恵まれた者たちは、それが特権だと思っては
ならない。自惚れていてはならない。

 世界の恵まれない人々、貧困の現実が何であるか、
手を差し伸べる勇気があるのか、本気で考えてみると
良い。

 タイトルは、坂村真民氏の詩である。

 
 『本気』

 「本気になると

 世界が変わってくる

 自分が変わってくる

 変わってこなかったら

 まだ本気になっていない証拠だ

 本気な恋

 本気な仕事

 ああ

 人間一度

 こいつを

 つかまんことには」


 自分だけを、いくら見つめても何も解決しない。

 世界を変えるのは、他者への優しいまなざしなの
かも知れない。







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花のうた [詩]


 詩人 黒田三郎さんに、「見ることなく」という詩がある。


 「それを見ないわけではないのに

 勤めにいそぐ駅までの道の

 どのへんにこぶしが咲き

 れんぎょうが咲き

 沈丁花がかおるのかを

 僕は知らなかった  

 なんと多くのことに気がつかず

 ただひたすら道をいそいでいたことだろう

 遅刻すまいとただそのことしか

 念頭になかったかのように

 五十歳を過ぎたある日突然勤めを止め

 これからどうすればよいのか

 見当もつかなかったのに

 その日から僕には

 見えなかったものが見えるようになった

 いつも通る道のあちこちに

 さまざまの花が咲いているのが」


 「花のうた」 黒田三郎 (小学館刊行)より引用。


 何とも切ない、うたである。勤めている間に、何故見え
なかったのだろうか。

 この詩の主人公は、きっと精一杯働いていたのだろう。

 でも、働いているうちに、見る花のほうが、明日の、より
良い仕事への活力になる様な気がしてならない。

 
 



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いのち [詩]

 詩人 吉野弘さんに「生命は」という詩がある。

 芙蓉の花のおしべの長さは、めしべの半分にも足りない。
めしべは同じ花のおしべから受粉を望んでおらず、虫や
鳥、風、水などの「他者」に期待しているのではないか。

 詩人 吉野は直感した。

 「生命は、その中に欠如を抱き、それを他者から満たして
もらうのだ」

 「生命体はすべて、他者の助けなしには完結できないように
運命づけられている」

 (産経抄より抜粋)

 海や森の中で生きる命には、餌になる命と、それらを食べて
生き延びる命がある。生命維持の原点である。

 人間も同じなのだ。共同体の中でよりよく生きるためには、
他者の助けと協力が必要なのだ。そこには、犠牲や、奉仕や、
痛みを分かち合う精神が存在する。

「生命は」 吉野 弘


 生命は
 自分自身だけでは完結できないように
 つくられているらしい
 花も
 めしべとおしべが揃っているだけでは
 不充分で
 虫や風が訪れて
 めしべとおしべを仲立ちする

 生命は
 その中に欠如を抱き
 それを他者から満たしてもらうのだ

 世界は多分
 他者の総和
 しかし
 互いに
 欠如を満たすなどとは
 知りもせず
 知らされもせず
 ばらまかれている者同士
 無関心でいられる間柄
 ときに
 うとましく思うことさえも許されている間柄
 そのように
 世界がゆるやかに構成されているのは
 なぜ?

 花が咲いている
 すぐ近くまで
 虻(あぶ)の姿をした他者が
 光をまとって飛んできている

 私も  あるとき
 誰かのための虻(あぶ)だったろう

 あなたも  あるとき
 私のための風だったかもしれない





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