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渚の記憶 [命]

 人の遠い記憶の中には、生命が海の中で誕生した30億年の渚での生活の記憶が残っているという。

 太古の海の記憶は、月のリズムを刻む。我々は母の胎内で、十月十日羊水の中で暮らす。その生命の誕生は、満潮の時であるという。

 道元「禅」の公案に、「自分とはいったい何者なのか」がある。

 『洞山和尚が、雲居和尚に「君の名前は、何だ」と問うと、

 「ハイ、雲居です」

 洞山はまた質問した。

 「それは生まれたあとで付けられた名前だろう。私が聞いているのは、お前がまだ母の胎内で生きていたときの名前だ」

 雲居が答えた。 

 「その時、私には名前はなかった」

 洞山は言った。

 「その名前のない母の胎内の自分と同じ生命で、今日もこうして生きておられるのだぞ。名前の付いた自分も大事だ。が、名前のつかない自分は、もっと大事だ」』 『』内「道元「禅」の言葉」より引用。


 ここには、まさに命の原点があり、宇宙の根本原理、老子の言う「道」(タオ)の思想に通じるのではなかろうか。


参考図書

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共通テーマ:日記・雑感

遥かなる海の記憶/壮大なる時間の美しい夢。 [命]

三億七千万年前、ひとの祖先の生命は海の中から誕生した。
海は潮の満ち干という月のリズムと密着している。ひとの誕生は満ち潮、ひとの死は引き潮時
である。
ひとの精子が、母の胎内に着床するチャンスは三億分の一という。生命は誕生するまでに、
三億の競争を戦いぬいて生まれてくる。胎内の羊水は太古の海の様相と同じで、遥かなる
生命誕生時の海の記憶がひとの遺伝子に刻み込まれて来たという。
まだ目も見えぬであろう赤ん坊が、にっこりと笑う時がある。母の胎内で見残した遥か遠い
記憶の夢を見ているのだ、と童話作家、夢野久作は、ロマンチックな洞察をする。

命はそれぞれ任務を背負って誕生してくる。母から誕生するまでに、又誕生してからも、多くの
他者に助けられて生きてゆく。始めに他者がいて、自分が存在するのだ。自分がいて、他者が
いるのではない。ここは間違えないで欲しい。ここに他者への貢献や連帯が生まれるのである。
家族、社会、国家、世界への貢献はここから始まる筈である。

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胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))三木 成夫

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starsこれが「生命誌」という分野の”はしり”だったのかも知れない
stars生命の神秘に関する壮大な物語
starsなんというか・・・
stars畏敬!尊敬!素晴らしい!!

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