いのち [詩]
詩人 吉野弘さんに「生命は」という詩がある。
芙蓉の花のおしべの長さは、めしべの半分にも足りない。
めしべは同じ花のおしべから受粉を望んでおらず、虫や
鳥、風、水などの「他者」に期待しているのではないか。
詩人 吉野は直感した。
「生命は、その中に欠如を抱き、それを他者から満たして
もらうのだ」
「生命体はすべて、他者の助けなしには完結できないように
運命づけられている」
(産経抄より抜粋)
海や森の中で生きる命には、餌になる命と、それらを食べて
生き延びる命がある。生命維持の原点である。
人間も同じなのだ。共同体の中でよりよく生きるためには、
他者の助けと協力が必要なのだ。そこには、犠牲や、奉仕や、
痛みを分かち合う精神が存在する。
「生命は」 吉野 弘
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための虻(あぶ)だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
読書(参考書籍)
芙蓉の花のおしべの長さは、めしべの半分にも足りない。
めしべは同じ花のおしべから受粉を望んでおらず、虫や
鳥、風、水などの「他者」に期待しているのではないか。
詩人 吉野は直感した。
「生命は、その中に欠如を抱き、それを他者から満たして
もらうのだ」
「生命体はすべて、他者の助けなしには完結できないように
運命づけられている」
(産経抄より抜粋)
海や森の中で生きる命には、餌になる命と、それらを食べて
生き延びる命がある。生命維持の原点である。
人間も同じなのだ。共同体の中でよりよく生きるためには、
他者の助けと協力が必要なのだ。そこには、犠牲や、奉仕や、
痛みを分かち合う精神が存在する。
「生命は」 吉野 弘
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための虻(あぶ)だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
読書(参考書籍)
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タグ:詩
こんばんは^^
どちらかと言うと分裂気質のわたくし、
他の方のためのアブだったり風だったりしたことがあるかしら。
他人にアブだったり風だったりを期待ばかりしていたかも知れないと
ちょっと反省しています。
by mimimomo (2008-05-27 19:48)
いつもnice及びコメントいただきありがとうござます。
by 一真 (2008-05-27 21:45)
欠如があるからこそ他者と補い合うことが出来るのでしょうか。
そう思うと自分の大いなる欠如部分もゆるせる気がしてきます♪(*^^*)
by 風音しおり (2008-05-28 00:17)
いつも、心に残る記事をありがとうございます。
by よしあき・ギャラリー (2008-05-28 06:20)
昨日は一日コメントが入りませんでした。
「生命は」 吉野 弘さんの詩は良いですね〜
私にもよく分かります(^。^)
いつも良い話をアリガトウございます。
by yakko (2008-05-28 09:41)