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相撲甚句、再び、”花づくし” [相撲]

  力士達が唄う相撲甚句は、地方巡業のしがない暮らしぶりを唄った。 しみじみとした哀感やユーモアを漂わせ、不思議な感動が伝わってくる。

 江戸時代の頃から、力士達によって長きにわたり唄い継がれてきた独特の唄である。現在では、地方巡業や花相撲などで唄われる。

 Wikipediaによれば、相撲甚句とは、歌詞は7775の甚句形式であり、力士6~7人が輪になり1人ずつで唄われる力士独特の唄であるという。

よく歌われる、四季の花を詠んだ甚句がある。


 「花づくし」


 花を集めて甚句に詠めばヨー

 正月寿(ことほ)ぐ福寿草

  二月に咲くのが梅の花

 三月桜や四月藤

  五月あやめにかきつばた

 六月牡丹に舞う蝶や

  七月野山に咲く萩の

 八月お盆で蓮の花

  桔梗かるかやおみなえし

 冬は水仙玉椿

  あまた名花のある中で

 自慢でかかえた太鼓腹

  しゅすの締め込みバレン付き

 雪舟たばねの櫓鬢(やぐらびん)

  清めの塩や化粧水

 四股踏みならす土俵上

  四つに組んだる雄々しさは

 これぞ誠のヨーホホイ  アー国の華ヨー


 地方巡業の最後にうたう「当地興行」は相撲甚句の名作とも言われ、ホロリとする唄い回しである。


「当地興行」                                                                                                                

 ハァー ドスコイ ドスコイ
 
 ♪ハァーエー
 
 ハァー ドスコイ ドスコイ

 当地興行も 本日限り ヨー 

      ハァー ドスコイ ドスコイ

 ハァー 勧進元や 世話人衆
 
 お集まりなる 皆様よ
 
 いろいろお世話に なりました

 お名残惜しゅうは 候(そうら)えど

 今日はお別れ せにゃならぬ
 
 我々発ったる その後も

 悪い病(やまい)の 流行らぬよう

 陰からお祈り いたします

 これから我々 一行も
 
 しばらく地方ば 巡業して

 晴れの場所にて 出世して
 
 またのご縁が あったなら
 
 再び当地に 参ります
 
 その時ゃ これに 勝りし ご贔屓を
 
 どうか ひとえに ヨーホホホイ
 
 ハァー 願います ヨー
       
ハァードスコイ ドスコイ

 (ハヤシ唄)
  
 ハァ せっかく馴染んだ皆様と
 
 今日はお別れせにゃならぬ

 いつまたどこで会えるやら
 
 それともこのまま会えぬやら
 
 思えば涙が パラーリ パラリと
      
      ハァー ドスコイ ドスコイ


西行法師、前回の投稿記事があります。よろしければどうぞ。


Youtube  動画再生/相撲甚句













 歌舞伎新派に、長谷川 伸 原作 「一本刀土俵入り」がある。駒形茂兵衛とお蔦の人情物語である。

 武士の矜持である二本の脇差しを差せず、しがないやくざの帯刀は一本であった。

 横綱の夢破れ、故郷へ帰る途中、お蔦の前で果たす土俵入り。

 「10年前、櫛、かんざし、巾着ぐるみ、恩義をもらった姐さんに、せめてこれが見てもらう、 駒形茂兵衛の、しがねえ姿の土俵入りでござんす」

 長谷川 伸、しがない庶民に向ける眼差しは、人間味あふれる温かみがあった。

 
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哀感とユーモア漂う相撲甚句 [相撲]

 日本を代表するスポーツ、柔道、相撲が、外国勢に席巻されている。日本の素晴らしい文化、国技である、というのに...

 伝統を、国技を、背負う若者達よ、出でよ、である。


花と月をこよなく愛し、歌と旅の放浪をつづけた西行法師は「願わくば花のしたにて春死なむ その如月の望月のころ」と歌った。桜への賛歌を詠う法師の辞世の句と言われる。胸を打つ歌である。

 相撲甚句に、なぜかこの「西行法師」がある。江戸時代の頃から、力士達によって長きにわたり唄い継がれてきた独特の唄である。現在では、地方巡業や花相撲などで唄われるという。


 「西行法師」
 
 ♪ ハアー エー
   西行法師が初めて東に下るヨー
   ハアー
   尾張の国で名も高き
   熱田の宮にと参詣する
   西を向いても風が来る
   東を向いても風が来る
  
   こんなに涼しいこの宮を
   だれが熱田と名をつけた
   そこへ神主飛んできて
   もしもしそこなる法師殿
   西に行く人なぜに東に下るかと
   言えば法師の申すには
  
   一羽の鳥でもニワトリと
   一本立てても線香という
   一つのものでも饅頭と
   一枚の紙でも半紙という
  
    白という字も墨で書く
   赤く咲いたるあの花を
   だれが葵とヨーホホイ
   ハアー
   名をつけたヨー

 力士達が唄う相撲甚句は、地方巡業のしがない暮らしぶりを唄った。 しみじみとした哀感やユーモアを漂わせ、不思議な感動が伝わってくる。

 地方巡業の最後にうたう「当地興行」は相撲甚句の名作とも言われ、ホロリとする唄い回しである。


 「当地興行」                                                                                                                

 ハァー ドスコイ ドスコイ
 
 ♪ハァーエー
 
 ハァー ドスコイ ドスコイ

 当地興行も 本日限り ヨー 

      ハァー ドスコイ ドスコイ

 ハァー 勧進元や 世話人衆
 お集まりなる 皆様よ
 いろいろお世話に なりました
 お名残惜しゅうは 候(そうら)えど
 今日はお別れ せにゃならぬ
 我々発ったる その後も
 悪い病(やまい)の 流行らぬよう
 陰からお祈り いたします
 これから我々 一行も
 しばらく地方ば 巡業して
 晴れの場所にて 出世して
 またのご縁が あったなら
 再び当地に 参ります
 その時ゃ これに 勝りし ご贔屓を
 どうか ひとえに ヨーホホホイ
 ハァー 願います ヨー
       ハァードスコイ ドスコイ

 (ハヤシ唄)
 ハァ せっかく馴染んだ皆様と
 今日はお別れせにゃならぬ
 いつまたどこで会えるやら
 それともこのまま会えぬやら
 思えば涙が パラーリ パラリと
       ハァー ドスコイ ドスコイ  



Youtube  動画再生/相撲甚句











 歌舞伎新派に、長谷川 伸 原作 「一本刀土俵入り」がある。駒形茂兵衛とお蔦の人情物語である。

 横綱の夢破れ、故郷へ帰る途中、お蔦の前で果たす土俵入り。

 「10年前、櫛、かんざし、巾着ぐるみ、恩義をもらった姐さんに、せめてこれが見てもらう、 駒形茂兵衛の、しがねえ姿の土俵入りでござんす」

 長谷川 伸、しがない庶民に向ける眼差しは、人間味あふれる温かみがあった。

 
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