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アインシュタイン塔 [宇宙]




アインシュタイン塔
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武蔵野の杜、東京、三鷹市に、国立天文台がある。
1874年、港区麻布飯倉に創設され、1922年関東大震災時、天体の精密位置観測に使われていた子午環が破損、現在地の三鷹に移設されたという。東京の空が明るくなり、観測に不向きになったためとも言う。

施設は一般公開され、見学することができる。歴史館や資料館には、明治期最古の望遠鏡(1875年の刻印あり)や、1924年建設の「ゴーチェ子午環」等がある。

鬱蒼とした杜の中に、「アインシュタイン塔」がある。1930年に建設され、現在はその役目を終え、1998年に有形文化財に指定されている。

ネーミングがいい。見学ガイドによる名前の由来は、

『太陽分光写真儀室の愛称「アインシュタイン塔」の由来は、ドイツのポツダム天体物理観測所の「アインシュタイン塔」にあります。これは、アインシュタインがうち立てた一般相対性理論を太陽光の観測から検証する目的で建てられたもの。三鷹の建物も同じ構造と機能を持っているため「アインシュタイン塔」と呼ばれるようになった。

三鷹の施設では、一般相対性理論の検証はできませんでしたが、黒点の磁場観測や太陽表面の爆発現象の観測、太陽の自転の測定や太陽光スペクトルの研究などに使われた』

現在は塔の中には入ることは出来ない。塔の外観から観測の歴史を偲んで欲しいという。
それにしても、ここにある施設の殆どが、ドイツのカール・ツアイス社製のレンズを使用している。
工作機械、潜水艦や軍事技術等、ドイツの科学技術は当時、世界を席巻していた。

ふと深い杜の中で蘇ったのは、先の大戦で、2トンの金塊を積んでドイツの最先端(軍事)技術を導入するべくドイツへ向け出港し、大西洋で撃沈された、あの「伊号第52潜水艦 」(潜水艦イ52号)未帰還の哀史であった。


それから60数年、たゆまぬ研鑽により、日本の技術水準は世界のトップレベルまで上りつめた。

ハワイの日本国立天文台「すばる望遠鏡」には、赤外線観測用装置の補正レンズに、シュミットレンズと呼ばれるレンズが組み込まれているという。このレンズの研磨盤と研磨加工の技術は、日本の超精密工作機器メーカー、(株)ナガセインテグレックスが担当した。

非曲面レンズのnm(1nmは10億分の1m)台の研磨加工をクリアー、2007年には「ものづくり日本大賞」を受賞した。「すごいぞ日本、やればできるぞ」である。



参考書籍

カラー版 すばる望遠鏡の宇宙―ハワイからの挑戦 (岩波新書)
カラー版 すばる望遠鏡の宇宙―ハワイからの挑戦 (岩波新書)海部 宣男

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