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「運、鈍、根」の勝負哲学 [社会]




 
 七番勝負の大勝負を戦う前に、七番全体の戦い方を立てる戦略が、四勝三敗の戦い方である。

 四連勝で一気呵成に勝つのではなく、穏やかにさわやかに四勝を制する戦い方である。

 伝説の賭人、ニック・ザ・グリーグの箴言に、「穏やかたるを学べ」がある。勝負は、無心、無欲の境地で
自然体で立ち向かえ、と言うことであろうか。

 囲碁、将棋など、勝負強い者は、局面の流れを見極め、棋理に即した手を積み重ね、終盤に、ここ一番の勝負手を放つて勝ちを制する。

 スポーツでも、囲碁、将棋でも、大勝負は、「七番勝負」が多い。先に三連勝し、あと四連敗しタイトルを逃がすケースがある。

 三連勝の時点で、もう勝ったと、先に喜んでしまい、気のゆるみから、緊張感をなくし、自ら体制を崩しずるずると敗退してしまうことがある。

 まさに「敵は我にあり」である。


 ひと昔前、鉄腕、稲尾投手を擁した、西鉄ライオンズが、巨人に三連敗し、その後四連勝し、日本シリーズを制したことがあった。

 囲碁でも、本因坊タイトル戦で、橋本宇太郎本因坊を、若き坂田栄男が3勝1敗と追い込んだが、その後ずるずると3連敗し敗退した。 坂田はその後10年間タイトルを手にすることはできなかった。

 将棋では、羽生善治が挑戦した竜王戦で、渡辺竜王は三連敗後四連勝し、タイトルを守った。

 あと1勝という栄光に目がくらみ、気のゆるみから、緊張感をなくし、自己と平静さを失い自滅するケース、
自ら体制を崩し、ずるずると敗退してしまうことが多い。

 逆に、もはや後がなく、失うものがないと覚悟を決めれば、迷いもなく開き直り、無心、無欲の自然体で闘う結果、勝負の女神がほほ笑むのであろうか。


 確率50%の賭け(コインの表裏、、カードの赤黒、サイコロの遇奇数等)に、「チャーリー・ディックスの法則」がある。

 賭けの必勝法とは、「賭けを仕掛けたものが、最初にコールをすること。自分がコールする時、迷い、萎縮し、震える。」 その迷いの選択のあげく、誤り、負けるのである。人間の悲しい性である。

 賭けの受け手は、コールも、選択もせず、相手が誤ることで、勝つ。勝負に勝つとは、相手の自滅なのだ。

 戦う前に勝負がつく、まさに戦わずして勝つ。勝負の極意かもしれない。
 

 大勝負であればあるほど、選択することで、間違う確率は高くなる。無心、平常心が勝負を制する。

 緊張感で、自己を見失うのは、人間の強い緊張状態が、長くは続かず、折れやすいからである。日ごろの鍛錬が必要なのであろう。

 日本刀の錬金術は、鋼を数十層積み重ね鍛えるが、最後の仕上げは、鋼の焼き入れとなましである。焼き入れだけでは硬すぎてもろく、衝撃で折れる。なますことでしなやかさを併せ持つ鋼に鍛え上げられるという。

 金属の熱処理技術でいう、焼き入れと焼鈍である。


 よりよい将棋を指す、よりよい人生を生きるためにも、この”しなやかさの感覚”が、”間合いと遊び感覚”が必要なのであろうか。

 ふと思い出したことがある。

 問題の答えが見えないとき、ピーターフォーク扮する刑事コロンボが、よくするしぐさがあった。立ち止まって、もう一つだけと言って質問する、あのしぐさである。

 自らに問いかける、立ち止まることは、必ずしも停滞することではない。時として問題の糸口が見えてくることもあるのかもしれない。

 将棋の故大山名人によれば、勝負における強靭な精神力を裏打ちするものは、「運、鈍、根」だと言う。

 大勝負を制するためには、勝負のさなかにも、一瞬でもいい、立ち止まって考える間合いが必要ではないだろうか。

 そして人生を 制するものは、人生へのひたむきさと併せ持つ、人生への間合いと、遊び心なのかも知れない。

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コアを鍛える、明けましておめでとうございます [社会]



 新年明けましておめでとうございます。

 新しき年が稔り多き年でありますように、皆様方のご健闘、ご健康をお祈りいたします。 

 年頭に当たり、初心を忘れずに、心がけたいと思うことがあります。

 コアを鍛える。精神と身体の中心軸にある「要」を鍛える。

 志と夢を持ち続ける。

 自然体で生きる。


 「人は地を規範とし

 
 地は天を規範とし

 天はタオを規範とし

 タオは自然を規範とする
        
                        老子


 世界は、イスラム国、ウクライナ情勢等、相変わらずキナ臭い。 一体、世界はどこへ向かうのだろう。

 国際政治学者のイアン・ブレマー氏によれば、現在、最も緊張感の高いのは、EUやギリシャ問題を抱える
「ヨーロッパの政治」である。

 尖閣諸島での日本、中国の対立より緊張リスクは高いと言う。

 
 「タオは自然を規範とする」、激動の時代には、自然に立ち返り、足るを知り、世界の連帯と多様牲の容認が必要なのではなかろうか。

 コアとは、揺るぎなき連帯や協調のために必要な哲学であろうか。

 分別や見識を身に付けた者たちが、立ち返るべきは、争いを乗り越える勇気であるのかもしれない。

 
 本年も出来る限り多く、皆様方のブログを訪問するよう心がけます。よろしくお付き合い下さるようお願い申し上げます。



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春遠からじ、新しき年に向かって思う [社会]

 道徳心高める教育を推進すべし 立命館大学フェロー・加地伸行
 
「少年よ大志を抱け」-たったこの一言が、実は重い道徳教育になっているのである。  日本の教育の不幸は、政府の行うことを、左筋の者が常に悪く悪く解釈し悪宣伝をするところにある。モラルジレンマの訓練・討論など知らないで悪口雑言だけ。彼らにこそ道徳教育が必要だ。

 引用記事全文
 http://www.sankei.com/life/news/141229/lif1412290014-n1.html

 「衣食足りて礼節を知る」は、「傍若無人」の対極にあり、礼節とは、他者への思いやり、いつくしみである。

 所作にも、落ち着いた優雅な立ち居、振る舞いが、他者と融合する優しい人間の風格を漂わせる。

 今は定かではないが、かって、自動車メーカーに納入した機械のメンテナンスを行うためには、事前に、安全管理の講習を受けねばならなかった。半日から一日とかなりの時間をかけた講義を受けねばならなかった。

 その中で、未だに記憶に残っているのが、「道具をまたぐな」であった。この所作を懇切丁寧に工場内の怪我や事故の例をあげて説明していた。

 表向きは、無造作に道具をまたぎ、つまずいて怪我をする例が多いという。しかしその心は、道具を大切にいつくしむことによって、いい仕事ができると言うものであった。

 大リーグ、イチローは、人一倍、ことのほか道具の手入れに余念がないと聞くが、道具を大切にする精神が、あれほどの偉業を生みだすのかと、改めて考えさせられる。 


 「仁以って己が任となす、また重からずや」   曾子

 孔子の弟子である曾子は、人生や人間の根幹をなすものは「仁」であると言った。 「仁」を全うすれば他者からの「信」を受けることができるという。

 北尾吉孝氏は、『「仁」と言う字は、「にんべん」に「二」、すなわち人が二人と書きます。二人の関係を良好に保とうと思えば、必ず相通じる心が必要になります。相通じる心というのは、ある種の一体感です』という。

 この一体感が共感、そして連帯感を生み出して行く。夫婦、家族、友を想う心が思いやりを生み、それが絆になっていくものではないかと思う。

 人間の特質に、自由に「選択」をする、「貢献」をしたい、という欲求がある。この二つを拠りどころにした「奉仕」は、さわやかな人生を満たしてくれる。

 人間はある「節度」を以って、「得」ではなく「徳」を積むことで豊かになる。自らのためでなく、他者に奉仕することによって、信を問はずとも、信を一身に受けることになるのであろう。


 われわれは、いつも無力であった。しかし、この反省と願いを超えて、マザーテレサさんは、たった一人でインドへやって来て、祈り、行動し、世界を変えた。

 ノーベル平和賞受賞者、パキスタン、マララ・ユスフザイさんは、「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、1本のペン、それで世界は変えられます」と言った。


 衣食足りて礼節を知る。

 止まることのない欲望と、飽食と過食の只中にあって、人間たちは、「礼節」を忘れた。 地球環境破壊、異常気象、失はれたもの、犠牲にされたものは、計り知れない。 

 
 「礼」は、自らは謙虚に、自然や他者を敬う、「節」は、やはり「足るを知ること」、そして、与えることではなかろうか。


 そして、世界の明日のために、友と隣人のために出来ることが何なのか、を問いたい。この問の答えは限りなく重いが、きっと見つかることを信じたい。

 今年もあとわずか。慌ただしい。

 冬来りなば春遠からじ、である。

 生き方の根幹にある道徳(モラル)は、志を抱くという人生の指針を垣間見せてくれる。

 新しき年に向かって、生き抜くために、心の軸足と、身体の軸足をしっかりと身につけたいものだ。

 今年一年、お忙しいさ中にも、いつも本ブログを応援して頂き有難うございました。

 どうぞ皆様、お元気でご健闘の上、良いお年をお迎え下さい。



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