メルヘンの世界

　国際アンデルセン賞、紫綬褒章などを受けた画家、安野光雅
さんは、ＮＨＫBS の「週刊ブック」によく出演されていた。多くの
本を積み上げて楽しげに解説する安野さんはかなりの読書家
という印象があった。

　スイスの美しい自然を舞台にメルヘンの世界を描くアロワ・カリ
ジェに共感した安野さんは、遊び心と溢れる夢と抒情の世界を
見事な絵本に仕立てあげた。

　最近あまり見かけなくなったと思っていた矢先、産経新聞「ゆう
ゆうＬｉｆｅ」に3年ほど前に、肺がんだと分かったという記事が載った。

　『命の有限を意識したとき、書斎いっぱいに置いてあった本を
ほとんど売りました、という。

　これは、読書三昧とかなりの著作を持つ安野さんにとっては、
相当つらい思いであったろうと思う。

　本など物理的なものだけでなく、気持の整理もしました。自分
の中にある見栄や虚栄心、劣等感をはぎとることを考えてみた
のです。名を残すなんてことも煩わしくなりましたよ。

　いらないものをそぎ落としてみたときに最後に残るものが「誇り」
ではないかと思いました』　（産経新聞引用）

　人が最後の拠りどころにするものが、誇りなのか、と納得する。　　　

　自分の軸足、信念を持つ、生きる上で非常に大切なことである。

　誇りとは、自分が主役なのだ。俗世間では、この幻想を持たない
となかなか生きにくい。

　安野さんは82歳、少し休んでいればいいのに、と言われる。

　『仕事をやってやろう、寝てなんかいられない、絵に取りつかれ
ているのかもしれません、という』

　安野さんがお元気で、いい仕事を長く続けられるよう多くの方々が願っている。


　安野光雅美術館のホームページ



http://www.town.tsuwano.lg.jp/anbi/anbi.html


　おすすめの本

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タグ：安野光雅 メルヘン 津和野

コメント 7

「『いらないものをそぎ落としてみたときに最後に残るものが「誇り」ではないかと思いました』」という言葉にはほど遠いですがそう言えるように少しでも努力したいです。
by yakko (2008-11-24 13:33) 

こんにちは＾＾
誇り・・・わたくしはこの意味を間違っているかも知れませんね～
ここに書かれていること、夫がわたくしに話してくれました。
そのときわたくしは『誇りって一番邪魔になるものだと思うけれど』っと答えたのです。誇り＝プライド・・・違うのですかね～
命の110番に電話してくる人に『プライドが邪魔をして友人が出来ず孤独に陥る』人が結構いるように聞きました・・・
誇りが高すぎ嫁姑の間がギクシャクする・・・
誇りも実力が伴っていると良いのですよね～っと勝手に色々考えていましたが、何かしらわたくしは根本的に間違っているのかも～
by mimimomo (2008-11-24 15:20) 

そうでしたか、ガンですか・・

「命の有限を意識したとき」
何を考え、何をするのか。
その人の人となりが見えるような気が致しました。
自分は何も準備しておりませんが・・
by Azumino_Kaku (2008-11-24 16:05) 

尊敬する画家です。
by よしあき・ギャラリー (2008-11-24 18:03) 

私は最後の最後まで好きな物に囲まれていたいですが・・・・
実際その立場に立たされた時、どう思うんでしょうかね・・・
by janvierm (2008-11-25 01:22) 

誇りですか・・・簡単に口にしてしまう言葉ですが、中々本物を見つけることが出来ない。
アクセサリーみたいになってしまいがちです。
by STEALTH (2008-11-25 21:41) 

＞いらないものをそぎ落としてみたときに最後に残るものが「誇り」

なるほど。そうかもしれませんね。
参考にさせて頂きます。

by ゆき (2008-11-27 21:06)