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京を継ぐ人 [社会]

 京の有形文化財として、明治3年築、138年の商家、
杉本家が現存する。

 財団法人奈良屋記念杉本家保存会は、会員の支援
により、この杉本家を保存、維持して行くことを目的に
平成4年に設立された。

 杉本節子さん(保存会事務局長)は、自分の生れ育った
生家が有形文化財の指定を受け、財団の管理下に入り、
自分の家が公の顔を持つということに、かなり戸惑いが
あったという。

 「家とは、そこで暮らす人々の矜持や心が宿る場所。

 古くからある京の暮らしの一端を残し伝えること、それが
この家と、家を継ぐものの使命やと思う。

 この家には、商家の人々の矜持がずっと長く宿って、受け
継がれているように思うんです」という。

 商家の格式としきたりは、よそのおうちとは違った。 

 当主がお客様をお迎えする客間や、仏間には、絶対に子供
は入れなかったという。

 子どもたちは、日々の暮らしの中で、しきたり、格式等の
矜持を自然に身につけて行った。

 この暮らしの中に、今、われわれが忘れてしまった、「慎みと
ゆかしさの中で育まれる心の豊かさ。窮屈なようでいて、合理
的で賢い暮らしのかたち」がある、と杉本さんはいう。

(京を継ぐ人伝える人、杉本節子さん インタビューより一部抜粋)

商家を残すこと以上に、そこに受け継がれた暮らしの知恵や
しきたりを身につけた子供たちが育つことが大切なのであろう。

京文化に”始末”ありという。無駄をしない、倹約するは当たり前
であるが、今の世の中、物事をきちんと処理をする、締めくくりを
つけることが出来ていない。やりっぱなし、 勝手でしょう、という。

 窮屈なようで、と杉本さんは言う。しかし、格式やしきたりを
無視、自由をはき違え、心の豊かさまでも失った人々が、その
代償として得たものは何だったのだろうか。







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コメント 7

よしあき・ギャラリー

京都といっても近郊の向日市に5年住んで、日常生活にある古き良きものを残そうとする人たちに触れ、歴史感覚の違いを感じました。
by よしあき・ギャラリー (2008-08-02 12:40) 

yakko

考えされられる話ですね〜
有名な建築家が家に神棚を作らなくなってから
変わってしまったと話されるのを聞いたことがありますが
昔はありとあらゆるところに神様が居られたんですよね〜
by yakko (2008-08-02 14:55) 

さわやか

感慨深いお話有難うございました。
by さわやか (2008-08-02 16:33) 

こうちゃん

ちょっと、美智子妃殿下の生家を
思い出しました。
by こうちゃん (2008-08-02 16:46) 

斗夢

住宅に"縁側"がなくなってからどれだけ過ぎたでしょうか?
縁側があるとないでは近所付合いや生活が
大変変わると聞いたことがあります。
by 斗夢 (2008-08-02 17:39) 

STEALTH

矜持って言葉、憧れますが・・・未だ私の人生には似つかわしくない。
いつか、そんな言葉を口にしても似合う、雅な男になりたいものです。
by STEALTH (2008-08-02 20:46) 

yamagatn

京都は厳格な考え方ですから
ただ古きよき大事にしなければならない風習もあります
が、今日と知らない方からすれば厳しい事なのかも
しれないですが、郷に入りては?ではないでしょうか^^

PS いつも丁寧にありがとうございます
好き勝手に書いているのでお気に召さなければよいのですが
by yamagatn (2008-08-03 08:54) 

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