奇跡の救出、偶然のなかの必然 [社会]
3.11、未曾有の原発事故とともに、浮かび上がったのが、危機管理能力の脆弱性であった。
東日本大震災時、東北地方の電子部品や自動車部品の生産工場が壊滅的打撃を受け、生産ラインがストップした。
この結果、日本をはじめ全米等の自動車工場への部品供給がとまり、自動車工場の生産ラインがストップした。その世界への影響は深刻であった。
この非常事態が、ライフライン、生産ラインの緊急時の危機管理が見直されるきっかけとなった。
まさに、この大震災時に、甚大な被害を受けた宮城県気仙沼で起きた、”奇跡”の救出劇があった。
このたび、当時の東京都副知事であった、猪瀬直樹氏が、この救出劇のドキュメントを刊行した。
この救出劇は、以前にも投稿したが、今回改めて、この奇跡の救出劇について考えてみたい。
危機管理の重要性は言うまでもないが、この奇跡には、何か大きな力が働いていたような気がする。
猪瀬氏は、「偶然の中の必然」と言うが、救出への祈りにも似た願いが、大きな「運」呼び込んだのではないかと思われる。
「全員がやるべきことをやった」、危急時に於いて、この協力と連帯が奇跡を呼び起こしたのであろうか。
アップルやグーグルが先導した情報技術の進化は凄まじい。 救出に願いを込めた、「火の海、 ダメかも がんばる」、のつぶやきが、世界を駆け巡り、446人の命を救った。
しかし、この時、ロンドンの息子へメールを打った母の携帯電話は電池切れ寸前だったと言う。
今、吾々は、インターネットと言う情報技術の恩恵を享受している。技術革新と進歩と言う光の影もあるが、素晴らしい時代に生きていると思う。
以下、前投稿記事 である。
天は不条理ではない。
ツイッターが救った気仙沼中央公民館の446人、奇跡の救出劇
石原都知事、猪瀬副知事、関連ホームページ
http://togetter.com/li/271607
気仙沼の奇跡の救出劇
気仙沼の奇跡の救出劇、発信元はロンドン
取り残された屋上から、内海園長は、ロンドン在住の長男・直仁さんに「火の海 ダメかも がんばる」とメールを打った
直仁さんは、ツイッターに、奇跡の救助を願い書き込んだ。
「拡散お願いします!」障害児童施設の園長である私の母が、その子供たち10数人と一緒に、避難先の宮城県気仙沼市中央公民館の3階にまだ取り残されています。下階や外は津波で浸水し、地上からは近寄れない模様。もし空からの救助が可能であれば、子供達だけでも助けてあげられませんでしょうか。
リツイートの輪はまたたく間に世界を駆け巡った。奇跡的に、リツイートを見つけた東京在住の会社員、鈴木修一さんが猪瀬副知事あてにツイートしたのである。
「前例はないが行ってほしい」
組織の規則も、命令系統も、判断責任も、すべて乗り越えた理を突き抜けた猪瀬副知事の決断であった。
一刻の猶予も出来ない緊急時にたじろがず、まっとうな判断を下せるのは、よほどの平常心、胆力と人間力がないと出来るものではない。
奇跡を信じ、奇跡をつなげた人々に、頭の下がる思いである。
『猪瀬 いまから振り返ってみると、本当に奇跡的でしたね。
内海園長 そうですね。もう1日置かれたら、本当に子どもたちが参っちゃったと思うんです。
猪瀬 ギリギリでしたね。
内海園長 はい、ギリギリでした。
猪瀬 防災部長もすぐ判断してくれて、その場で「やっちゃいましょう」と決めたんですよ。自分の部署に戻って根回しもあっただろうけど、すぐ動かしてくれました。
内海園長 気仙沼では東京消防庁に本当にいろいろご活躍していただいて、とても頼もしいです。本当にありがたいです。東京消防庁のオレンジの服を見ると頭を下げてって感じです。本当にありがとうございました。』
引用記事全文
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120319/302831/?ST=business&P=1
【ドキュメント】東京都はどう対応したか――ツイッターに救助要請、気仙沼へ大型ヘリを派遣
引用記事全文
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110314/263638/?ST=business&P=1
あらためて、緊急時の危機管理の行動規範の研鑽が叫ばれる。
原子力安全・保安院(上)震災3日後 独断で撤退
引用記事全文
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120424/trd12042408160003-n1.htm
上記救出美談とは逆に、原発事故の危急時にあって、危機管理能力も、平常心も失った、菅政権の狼狽、混乱ぶりはすさまじかった。菅直人は周囲を怒鳴り散らし、「組織が全く消失していた」とまで言われた。保安院トップの寺坂信昭氏は、震災三日後、独断で官邸から撤退した。内閣府原子力安全委員長、斑目春樹氏は、これは明らかに敵前逃亡だという。
斑目氏は、原発の天災事故が、まさに菅政権の人災事故の様相として、検証されたと言う。
無門慧明禅師は、「平常心是道」を詩に託す。
「春に百花あり、秋に月あり、夏に涼風あり、冬に雪あり、若し閑事の心頭に掛る無くんば、便ち(すなわち)是れ人間の好事節」
「若し閑事の心頭に掛る無くんば」は、自己のエゴを超えること。自己を捨て、他者に尽くす平常心を、是れ道の真理だという。
もう一つの奇跡、 サッカーボール漂着
天は、常に不条理ではない。神々は見ている!
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