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シーレーン防衛、そして戦略的思考 [国際]

 他策なかりし
 
出版されて30年もたつと、たいていの本は絶版になるはずだから、快挙といえる。きのう訃報が届いた岡崎久彦さんが、昭和58年に出した『戦略的思考とは何か』(中公新書)は、今も書店に並んでいる。外務省から防衛庁に出向中だった岡崎さんが、1年間、米国に留学して書き上げたものだ。  ▼「戦略的思考」とは、「日本が自分の意思にかかわらず戦争に直面せざるをえない場合のことを考えておく」ことをいう。


岡崎さんが、集団的自衛権の必要性を痛感したのも防衛庁時代だった。米海軍司令官と話していて、ペルシャ湾から東アジアに至るシーレーンを守る、米第7艦隊の過酷な任務を知った。通る船のほとんどが日本に石油を運ぶタンカーだというのに、海上自衛隊がパトロールに参加できない理不尽を指摘された。


 引用記事全文
 http://www.sankei.com/politics/news/141029/plt1410290007-n1.html


 
 世界はテロ、紛争、貧困に明け暮れ、舞台裏では、死の商人と言われる武器商人が暗躍する。 平和ボケの日本は、テロとの戦いから遠ざかり、原油やウラン等の輸送タンカー等のシーレーン防衛を他国に任せ、相変わらず能天気な一国平和主義にしがみつこうとしている。

 石油、LNG, 核燃料等、日本へ輸送する、シーレーンの安全保障および交易国との経済交流は相互の経済発展にとって、最重要国益となる。
 
 ホルムズ海峡での機雷除去は、危険と紛争との隣り合わせである。 まさに戦略的思考が要求される。

 今、国際情勢の激変により、憲法解釈変更、集団的自衛権論議が熱い。当然、シーレーン防衛も改めて論議される。


 Wikipediaよりシーレーンを抜粋すると、

 「オイルショックなどの影響から産油国との外交関係、そしてシーレーンの安定化が不可欠と感じた日本は1982年(昭和57年)頃から外洋に伸びるシーレーン1000海里防衛構想を策定するなど、日本のシーレーン防衛のあり方が課題とされるようになった。

 日本の輸入依存度を見てみれば輸入量は石油2億トンをはじめ、7億5000万トンにも達しており、特にエネルギーは2001年(平成13年)時点の資源エネルギー庁調査において国内の輸入依存度の高さは石油が99.8%、石炭98.4%、天然ガス(LNG)96.6%、原子力(ウラン)に至っては100%を依存している。

 輸出はハイテク工業品だけで2000万トン、第1次産品を含めれば7000万トンにも及ぶ。こうしたことからも、日本も海洋国家のひとつとして、自国のシーレーン防衛の重要性が認識されてきた。

 日本人の食卓に並ぶ豆腐も蕎麦も「シーレーンの賜物」といわれ、いかに日本が輸入依存度が高いかを象徴している。海上自衛隊の戦術思想の原点はシーレーン防衛であり、対潜水艦戦、対機雷戦に重点をおいた訓練を行っている。」 (以上、Wikipediaより抜粋)

 
 
 朝日新聞をはじめ、マスコミや自称知識人達が、憲法解釈や集団的自衛権反対を唱え、戦争への道、国民が血を流す道へとつながるとして、国民の半数以上が反対であると報道している。

  
 石油、天然ガス、核燃料を積んだタンカーの安全は日本自体で守らねばならないのだろう。机上の正論を言う輩たちは、どうやって自国の安全をまもるのだろうか。黙っていても、世界のお人よし達が、能天気の日本を助けてくれるとでも思っているのだろうか。

 曽野綾子氏は、「ペルシャ湾海域を日本の10万トンタンカーでカタールまで行った。湾岸の周辺に住む人達は、国際法的な理屈を通してものを考えない」と言う。

 「私たちの考える正規の国家ではなく、部族社会が絶えず抗争を繰り返している土地だjから、自分に不利なことは排除してかまわないという不動の価値観を持っている。

 国家などという概念では割り切れない勢力がはびこる。誰でも自分の行動の邪魔になるものは、自力で排除して当然なのだ。

 それが国際法上の正当な戦闘行為かどうかなど問題にしないのは、抗争はスポーツと違って、もともとルールが無いからだ。

 当時からこうした船の安全を講じてやる配慮は日本政府にはなかった。危険な仕事は人にやらせ、自分は正義と正論を唱える。

 戦争で人を死なせるのは悪で、日本経済の死活問題であるエネルギーの補給に携わる人の危険は放置していいという論理は成り立つのか、私はずっと教えてほしいと思い続けている。」 

 以上、7/09付、曽野綾子氏の記事、「 機雷掃海批判に想う」の中で、「海上交通の安全は日本の死活問題」から抜粋。

 日本のマスコミや、知識人たちが先導する彼らのやわな正論が、いかに身勝手な空論であるかということに気付く。 痛みを伴う犠牲も責任も引き受けぬ無責任なご都合論だからだ。

 現場の実態を知ることなく、片手落ちの都合のよい理屈を並べて世論を誘導する卑怯な輩たち、世界の紛争、テロ、貧困等の解決を目指す現実の手立てを示さねばならない。戦争反対を叫ぶばかりでは何も解決しない。

 烏合の衆より性質が悪い彼らは、一度でも、世界にわたる紛争、テロ、貧困の現場に身を置き、身体で考えた具体的解決策に言及したことがあるのだろうか。


 一方、安倍政権が唱える積極的平和主義や集団的自衛権に危惧を抱き、戦争へ巻き込まれぬよう、古賀 茂明氏の提言もある。

 「国家の暴走」は、軍事立国化への懸念として一見の価値ありであろうか。

 テロの拡散、イスラム国の台頭などで、日本の安全保障は危機に立たされている。曽野綾子氏が言う「国家などという概念では割り切れない勢力」に、日本の正義、正論は通用しない。

 日本が進むべき道は、間違っても戦争に加担することではない。しかし、日本が国際舞台で存続するためには、「危険なことは避けて通り」、全くの無傷ではいられないのかもしれない。

 自国の安全を守るためには、時として痛みを伴う犠牲も責任も引き受けるという覚悟が問われている。


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