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勝負の要諦 [社会]

 勝負の要諦を極めた達人技に、”後の先”がある。
 
 白鳳は、「勝つ相撲は取らない」と言う。勝負の要諦をついた意味深な言葉を使う。

 白鳳が尊敬する双葉山についても、双葉山は、心、技、体ではなく、心、気、体だという。気合いが大事だと言う。

 相撲に、「後の先」がある。立会で相手より一瞬遅く立ちながら、組んだ時は、もろ差し、右四つ、左四つ等、自分の得意型に持ち込み、先手を取っていることだという。名横綱、双葉山が得意とした立会だという。

 スポーツ、武道などに共通した技であるが、囲碁、将棋などにもよく使われる。相手の動きを見極めてから、自らの手を決める。相手が動いた一瞬のすきを突くのである。


 確率50%の賭け(コインの表裏、、カードの赤黒、サイコロの遇奇数等)に、「チャーリー・ディックスの法則」がある。

 賭けの必勝法とは、「賭けを仕掛けたものが、最初にコールをすること。自分がコールする時、迷い、萎縮し、震える。」 その迷いの選択のあげく、誤り、負けるのである。人間の悲しい性である。

 賭けの受け手は、コールも、選択もせず、相手が誤ることで、勝つ。勝負に勝つとは、相手の自滅なのだ。

 戦う前に勝負がつく、まさに戦わずして勝つ。勝負の極意かもしれない。
 
 囲碁、将棋でも、「後の先」は、相手に手を渡すことであろうか。守りながら、相手に攻めさせる。先に動くほうは、指し手や読み筋を間違い易い。結果、勝つ確立が高い。

 大勝負であればあるほど、選択することで、間違う確率は高くなる。無心、平常心が勝負を制する。

 歌の文句にある、「勝つと思うな、思えば負けよ」、俗説ながら、ある一面、真理を突いている。

 スポーツでも、囲碁、将棋でも、大勝負は、「七番勝負」が多い。先に三連勝し、あと四連敗しタイトルを逃がすケースがある。

 三連勝の時点で、もう勝ったと、先に喜んでしまい、気のゆるみから、緊張感をなくし、自ら体制を崩しずるずると敗退してしまうことがある。

 古い話だが、鉄腕、稲尾投手を擁した、西鉄ライオンズが、巨人に三連敗し、その後四連勝し、日本シリーズを制したことがあった。

 将棋では、羽生善治が挑戦した竜王戦で、渡辺竜王は三連敗後四連勝し、タイトルを守った。

 もはや後がなく、失うものがないと覚悟を決めれば、迷いもなく開き直りの無心状態になり、結果、勝負の女神がほほ笑むのであろうか。

 故米永永世棋聖は、勝負の女神を引き寄せるのは、「将棋への誠実さであり、笑い」だと言った。笑いを私流に解釈すれば、遊び心と間合いではなかろうかと思う。一途な真摯さは、時として将棋を、人生を見えなくする。

 苦しみ、迷いながら最善手を、正解を見つけ出して行く。ここにあるのは、あの”1/fゆらぎ”である。宇宙の星の光やホタルの光が揺らいでいるように、森羅万象にこの”ゆらぎ”がある。

 心地よい音楽の旋律にも、揺らぎがある。そよ風が心地よいのは、この揺らぎを秘めているからだ。

 よりよい将棋を指す、よりよい人生を生きるためにも、この”ゆらぎ感覚”が、”間合い”が必要であろうか。

 ふと思い出したことがある。

 問題が見えないとき、ピーターフォーク扮する刑事コロンボが、よくするしぐさがあった。立ち止まって、もう一つだけと言って質問する、あのしぐさである。

 自らに問いかける、立ち止まることは、必ずしも停滞することではない。時として問題の糸口が見えてくることもあるのかもしれない。


 前記事があります。よろしければどうぞ。 
 勝負の品格






参考図書


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