桜のこころ 人のこころ [国際]
ワシントンD.C.の桜は、100年も前に寄贈され、日米友好のシンボルとして、今尚多くの人々に親しまれている桜である。
日米桜寄贈100周年
引用記事全文
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sakura100.html
京都、「植藤」 第16代桜守 佐野藤右衛門さんは言う。
「桜の根は、幹の四方に伸びた枝の先端の真下にまで伸びている。
根がさらに伸びると枝も一緒に伸びる。張った枝が重くなればそれに応じて根もまた肥える。こうして木は、広く深く根を広げていく」
「人間が木の根元を踏み固め、幹の根元に養分をやる。木は容易に養分を吸えるから根の先を必死で伸ばそうとしない。根張りがないから、ちょっとした風でひっくり返る。人間は、いらんことばかりしているんですわ」と言う。
「自然界は時間がかかるもの。結果を急いで何かをすると、逆に悪くなることがある。 5年後にはどうなるかを考え、今をどうするか、これからの手入れをどうするかを考えてやる」 (「桜のいのち庭のこころ」 「桜守三代 佐野藤右衛門口伝」より)
樹齢1000年の桜は、厳しい自然と対峙しながら、大自然の摂理の中で生き延びてきたのだろう。
人間も全く同じ。人生はあっという間というが、結果を出すためには長い時間と試練が必要だ。志の高さ、夢の大きさが人生を分ける。
1964年、東京大学の卒業式にて、大河内一男総長が卒業生に贈った訓示は「太った豚より痩せたソクラテスになれ」であった。
出典は、J.S.ミルの「功利主義論」と言われる。
何不自由なく恵まれた環境から、ボクシングの世界チャンピオンが生まれたと聞いたことはない。長嶋茂雄氏がよく「ハングリー精神」が足りないというのも納得だ。
人間には、生まれながら、怠惰なる心、向上心、貢献心を合わせ持っている。教育や躾をおろそかにし、放置すれば、怠惰で、功利的な、一見楽な方向へ向かう。
人間が、太陽や空気、水等の自然のめぐみや他者により生かされ、自らの使命が何なのかに気付くとき、他者や自然との連帯に目覚め始めるのかもしれない。
桜は来年の花を咲かせるために、前年の9月ごろに、幹の皮の下にあのピンクの桜色を貯め込むという。
花開蝶自来(花開けば蝶自ずから来たる)
人にも、桜にも、心がある。 命あるものすべてに、心がある。
春が来て花が開けば、蝶が自然に集まる。人、得があれば自ずと人が慕って集まってくるものだ。花も蝶も、無心の舞い、大自然の摂理を背負って生きる。(原典は禅語)
参考図書
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桜守三代 佐野藤右衛門口伝 (平凡社新書) | |
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