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勝負の品格 [社会]




 将棋の魅力は「勝ち負け」にだけあるのではない
 
だからといって、将棋ファンがそっぽを向くようなことはないだろう。船江五段は、「人間の弱さが出てしまった」と敗因を語っている。個性あふれる天才たちが、「人間の弱さ」と闘いながら、神の一手に近づこうとする。その姿こそが、将棋の最大の魅力だからだ。

 引用記事全文
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130408/shg13040803080000-n1.htm

 今回の将棋ソフト対プロの団体戦は、現在プロ側の1勝2敗だという。

 先に行われた2007年の渡辺竜王対とボナンザ戦は、竜王の勝ち、2012年の米長永世棋聖対ボンクラーズ戦は、ボンクラーズの勝ちであった。 ともに敗者側の、見落としか消極手が敗因であった。

 将棋ソフトの実力が上がったからと言って、プロが行う真剣勝負には、人間対人間の勝負の”あや”と”気合”がありコンピューター将棋の及ぶところではない。

 将棋は、まさに一人の人間対人間の精神と体力を賭けた格闘技であろうか。

 元巨人軍投手 桑田真澄氏は、ピッチャーはマウンド上では一人、信じる者は自分しかない、と言う。

 一球入魂の勝負は、自分を信じて勢いと伸びのある球を投げねばならない。この気迫を乗せた球をバッターは打つことができないという。

 以前、中沢不二雄さんという野球の名解説者がいた。ピッチャーがストライクがほしくて、「球を置きに行く」という言い方をされていた。ストライク欲しさに、まさに勢いも自信もない球を投げるから、間違いなく打たれる。

 将棋も手が伸びる、勢いがある手を指した方が勝つ。


 船江五段は、「人間の弱さが出てしまった」と敗因を語るが、人間対人間の勝負は、勢いと気迫が勝ったほうが勝つ。敵は相手ではない。「敵は我にあり」、まさに自分なのだ。


 前記事があります。 よろしければどうぞ。

 70歳の恋 そして勝負!

 ”信をも守らじ、礼儀をも思はじ”

 「信をも守らじ、礼儀をも思はじ」、徒然草の一節である。

 「信なくば立たず」とよく言われる。世界を席捲したトヨタの生産システムの根幹にあったのが、この考え方であったと聞く。

 コンピューター将棋にないものが、礼儀と品格だ。 これをプログラムに組み込むことは不可能だと信じたい。

 
 人間の勝負にも品格と気品が必要だ。


 「さわやかに勝つ」、米永邦夫永世棋聖がよく言われた。棋理に反した手や、スジの悪い手を打つくらいなら、潔く負ける。逆にいえば、何が何でも勝ちにいくと、こんな綺麗ごとは言っていられないのかも知れない。

 
 ここに、棋士たちの持つ人間性がある。滲みでる品格がある。


 20歳の囲碁名人、井山裕太さんを育てた石井九段は、盤外の礼儀を厳しく教えた。対局開始の「お願いします」から終了時の「ありがとうございました」まで礼を失することは許さなかったという。

 大勝負を制するのは、よほどの精神力、人間力がないと難しい。かっての坂田栄男、加藤正夫氏も若くして囲碁の名人挑戦者になるも敗退、その後名人になるまで10年の歳月を要した。

 この10年は、技術だけでなく、不屈の精神力の鍛練であった。

 
 かって、将棋の升田幸三名人は、「人生の間合いと、遊び心」が大事だといった。加藤正夫氏も幾度か、名人に挑戦するが、あと一歩及ばず敗退を繰り返した。

 すべてに真面目すぎた加藤正夫氏を、見かねた石田芳夫九段が、「少し遊べば」とアドバイスした。2年程して名人になり、その後タイトルを総なめにしたという。

 

参考書籍

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