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渚の記憶 再び [社会]



  椰子の実

 名も知らぬ 遠き島より

 流れ寄る 椰子の実一つ

 故郷の岸を 離れて

 汝(なれ)はそも 波に幾月


 遠い日に、海辺の砂浜で、どこからともなく聞こえてきたのは、あの懐かしい唄と渚のざわめきであった。


 三木成夫氏の「胎児の世界」によれば、

 30億年も前、人類の原初の生命体は、海から陸へ上陸する前の渚で暮らした太古の生命記憶を持つという。

 母の胎内で聞く羊水の音の記憶は、まさにこの渚のざわめきだという。

 
 母親の胎内で赤ちゃんを育む羊水は、ミネラルバランスから見るとその組成は太古の海水とよく似ているといわれる。

 「この地球上の生命が誕生したのは、30億年以上も前の海の中からである。生命が陸に上陸する前に、渚に暮らしていた時代に、生命体に月のリズムが刻まれた」のだという。

 潮の満干は、人間の生命、特に母体とは密接に関係しているらしい。もうひとつ受け継ぐのが、体内時計である。 概日リズムの体外時計が、一日24時間に対して、生命の成長と老化を司る人間の体内時計は25時間であるという。この1時間の差がまた宇宙の神秘を秘める。

 この1時間のズレは、朝の目覚めで、朝日を浴びることで24時間にリセットされる。リセットされない生活が長く続くと、夜と昼が逆転し、不眠症など心身のリズムとバランスが崩れ、体調不良になるという。

 
 母親の胎内で胎児は、十月十日、絶え間なく響く血潮のざわめき、あの海の潮騒を聞いて育つ。

 「生まれてまだ目もあかない赤ん坊が、何かを思い出したようにニッコリ笑ったりするのを、わたしたちはいつも見ている。それはほかでもない、母の胎内で見残したそのような夢の名残りを、実際見ているのだ」という。

 「母の胎内で見残した夢の名残を見ている」という、壮大な生命誕生の遥かな記憶と神秘の物語である。

  (胎児の世界  三木 成夫 著 より抜粋)

 海辺の砂浜で、潮風と波のざわめきに身をゆだねれば、遠い太古の記憶、母の胎内で聴いた子守唄、渚のざわめきが甦る。

 青い波の地平からやってくる頬を過ぎ行く潮風により、心身共にリフレッシュされるのかも知れない。

 おまけ

 脱原発を言う前に、出来ることから始めよう! ソーラー、風力だけでなく、バイオマス、地熱発電等、日本で出来ることは結構多い。




参考図書

胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))
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