動乱はわが掌中にあり

司馬遼太郎　坂の上の雲、にも登場する、　日露戦争勝利の影の立役者と言われる、明石元二郎は、１９００年初頭、ロシア公使館付陸軍武官に着任した。

　日露戦争のさなか、欧州に潜入、背後から帝政ロシアを崩壊させるべく密命を受けた日本人がいた。陸軍大佐、明石元二郎は、フィンランドの独立を闘う革命家コンニ・シリアクスと共闘し、ロシア革命の火付け役になった、という。

　明石は、日露戦開戦を前にロシアの政情の後方撹乱及び情報収集を目的に、参謀本部より、１００万円の工作資金を与えられた。

1904年（明治37年）、明石はジュネーブにあったレーニン自宅で会談し、レーニンが率いる社会主義運動に日本政府が資金援助することを申し出た。レーニンは、当初これは祖国を裏切る行為であるといって拒否したが、明石は「タタール人の君がタタールを支配しているロシア人の大首長であるロマノフを倒すのに日本の力を借りたからといって何が裏切りなのだ」といって説き伏せ、レーニンをロシアに送り込むことに成功した。その他にも内務大臣プレーヴェの暗殺、血の日曜日事件、戦艦ポチョムキンの叛乱等に関与した。これらの明石の工作が、後のロシア革命の成功へと繋がっていく。

引用記事全文（この記事には、反論もあります。以下ご参照ください）
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%85%83%E4%BA%8C%E9%83%8E


　明石のこれ等の後方撹乱活動は、ロシアの革命機運に火をつけ、巨大な帝国は内側から揺らぎ始めた。

ロマノフ王朝の政情不安は全土に広がり、戦意喪失、日本海海戦に敗れた時点で戦争遂行を断念、結果として明石の活動が日本の日露戦争勝利に多大の貢献をした、と言われた。

　当時の陸軍参謀総長、山県有朋に、「明石というのは恐ろしい男だ」と言わしめた秘密工作員であった。


　明石は任務終了後、１００万円の内、残った資金２７万円を明細書を付けて返還したという。


　今の政治家の中には、情けないことに私利私欲に走り、国に仕えるという信念もなく、偽装、談合をはじめ、政治献金、公金を平気でくすねる。

　秘密工作資金であるから、返還しなくともお咎めは無い筈である。　それを明細書を付けて返還する精神は、正に国家を背負う任務を遂行する者の手本ではなかろうか。

　当時の１００万円は、今の時価に換算して、約400億円と言われる。

　２７万円といえば今の100億円余に相当する。自らを律する武士道精神を持った人間の矜持であろうか。

　日露戦争後は、第7代台湾総督となった。孫の明石元紹は画家で日本李登輝友の会理事でもある。日本人、台湾人の教育の機会均等、ダム水利、港湾事業等、インフラを整備した。今の台湾の親日的風土は、明石の功績も大きいと聞く。

追記

　かって、ニューハンプシャーの電子工業向けの機械メーカーに立ち合いに行ったことがある。工場からそう遠くないところにヨットハーバーがあって、そのすぐ後ろに、1905年に日露講和条約が締結された当時、日本、ロシア両国の代表が宿泊したホテルがあった。100年近く経ったホテルは老朽化し、歴史的記念館として改装中であった。

　現在は、マリオットホテル、”Wentworth by the Sea Hotel and Spa”として開業中だと聞く。機会があればぜひ訪ねたい。

　ホームページがあります。よろしければどうぞ。
　Wentworth by the Sea Hotel and Spa
　http://www.wentworth.com/
　


　参考図書

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コメント 24

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後世どんな評価がその人に下るかは別として、現時点で公人を見る基準は「公」にどう向き合っているかだと私は思っています。滅私奉公という言葉は好きではありませんが、「自分の利のために」が見える人は好きになれません。
by 斗夢 (2009-12-16 08:37) 

お早うございます。
「坂の上の雲」は録画して観ています(*^_^*)
by yakko (2009-12-16 09:42) 

こんにちは＾＾
今の国民は哀れですよね～
こんな国に誰がした、っと言いたいです。
by mimimomo (2009-12-16 11:55) 

戦争には陰の立役者って居るものですね。
by 旅爺さん (2009-12-16 12:05) 

＞[図解]『坂の上の雲』のすべてがわかる本・・・
出版されてるんですね。面白そうです。＾＾
現代の政治家を含む諸々の著名人等の
汚れ乱れ切った態を見て、
昔は気骨のある英雄が多かったように思われます。
日本国に誇りを持っていたのでしょう。
私利私欲など二の次だったのでしょうね。
by 風子 (2009-12-16 12:14) 

明石元二郎氏、素晴らしい人ですね。
日露戦争での功績もすごいですが、台湾総督時代に行ったことからも、彼がいかに高潔な人間であったかといことをうかがい知ることができます。
by cjlewis (2009-12-16 12:27) 

こんにちは。御訪問＆nice！コメントをありがとうございます。
坂の上の雲、欧米列強に、追い付け追い越せと、問題もありましたが、当時の政治家は、日々真剣勝負だったように思います。
気骨、志、仁、信、何れも、薄れて今にも、消えて行きそうで、
なんとも嘆かわしいですね。しかも、説明責任と、唯の言い訳の違いも解らないようでは・・・。有難うございました。
by so-cosmonet (2009-12-16 13:51) 

明石元二郎のことを知ったのは、ぼくも「坂の上の雲」を
読んでからですが、明治維新政府の中には公私の区別
のつかない元勲もかなりいましたが、彼のような立派な
公人も沢山居ました。
今の与野党には公人のけじめがつかない人たちばかりが
目立ちます。


by 未来 (2009-12-16 14:08) 

父は100才で、回顧録のようなものを書いて、102才で他界しました。
そのなかに、「明石大佐」という言葉が出てきます、生存中にもっと詳しい話を聞いておけばよかった。父、フィンランド大使館付き武官を務めておりました。命を張ってのお勤めであったこと、3才のワタシにも伝わってきたものです。
今、この国に、命を張っている政治家はいるのでしょうかね。
by okko (2009-12-16 14:28) 

明石大佐、後に大将、日露戦争勝利の最高殊勲者ですね。
by SilverMac (2009-12-16 15:23) 

御訪問有り難うございます。
mwainfoさんのお名前も難しいですが、歴史に疎い私には、難しいお話ですね。　　どの時代にも、隠れた仕掛け人が必ず存在していると言う事だけは、言えると思いますが・・・、それを伝える側に因って、どう判断したら良いのか・・・。　　オームのサリン事件の時も、当時のテレビ局の報道に因って、現被害者である一般の方を、一時は、犯人と信じてしまいました。
by サニーデイ (2009-12-16 16:14) 

赤石という工作員が、潔癖な方だったようですね。５０４億ですか～！
トリスターノ、たしかにクールジャズと言われてましたね。なつかしく思い出しました。
by drumusuko (2009-12-16 16:55) 

明石大佐、詳しくは知りませんでした。
歴史の影で活躍された方は、たくさんいるんでしょうね。。
by abika (2009-12-16 17:05) 

全文拝読しました。
坂の上の雲を読んで、明石大佐のことは承知していましたが、
改めて、その行動力に感服しています。
有難うございました。
by koh925 (2009-12-16 19:36) 

私利私欲に走る政治家達も、「坂の上の雲」など、文学はほとんど読んでいるのですが、
子供時代から必要な読書、良書を読んでも自分のなかに還元出来ていないのでしょうね。
by tateichi_m (2009-12-16 20:49) 

このお話しは知りませんでした。
歴史を動かす人物は並の人ではありませんね。
by nyankome (2009-12-16 21:33) 

こんばんは、記事を拝読し初めて明石さんの活躍を知りました。
明治の時代には志の大きい人がたくさんいたものだと、感嘆しました。現代のわが国にもこんな骨太な人の活躍が待たれますね。
by Azumino_Kaku (2009-12-16 23:18) 

現代の政治に関わる人々のことを考えてみると・・・この明石大佐の考えをもって行動してほしいです。
by アールグレイ (2009-12-17 00:33) 

ご来訪とコメント　ありがとう御座います。
これから宜しくご交遊願います。
by furukaba (2009-12-17 08:30) 

日露戦争と言えば、旭川の第七師団が主戦力でしたね。
by marcy (2009-12-17 17:58) 

明石大佐、東郷平八郎司令官と並び、フィンランドでは救国の英雄だそうですね。
彼の積み重ねはのちの陸軍中野学校に引き継がれた・・・とのことです。
明治と昭和初期の違い。
各々の部署のトップが自国の武を知り、己の分を知っていた明治時代の人々。
全てを過信したのが昭和。そんな認識をしています。
明治に学ばねばならないこと、実はそういうことなんだと思います。
青雲の志のみではない、ような気がします。
by STEALTH (2009-12-18 08:16) 

ご訪問 & nice & コメント ありがとうございました。

by ビアンカ (2009-12-18 10:56) 

ご訪問、ＮＩＣＥ、コメント有り難う御座いました。
こんごもよろしくお願い致します。
by Ｋ２ (2009-12-19 15:03) 

かつて台湾の山奥で、地元のお店に入って英語で話していたのですが、ポロッと日本語が飛び出したら、相手のかたから、「なんだ、あんた日本人か」といわれて、大歓待を受けました。
もちろんそれ以降は日本語で会話が続きました
by 駅員3 (2009-12-22 21:41)